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FILE No.2   映画『ヘイジャパ!』公開記念インタビュー
村松亮太郎監督・原田佳奈さん   
映画HP:http://www.nizoo.com/dplu/
原田佳奈さん公式サイト「就活女優」:http://www.nizoo.com/shukatsu/


僕はあまりいい生徒じゃなかったんです。


村松 亮太郎監督:クリニックと出会ったきっかけは、ある種たまたま。当時所属していた事務所が同じビルの中にあったんです。クリニックのレッスンは、それまで受けた演技のレッスンとは全然違いましたね。最初は戸惑いました。「みんな象だよパオ〜ン」とかやってるの見るとそりゃビビリますよ。大丈夫か、なんだここは、みたいな。でもやっていることや言わんとすることは分かりますよね。

塩屋 俊: あの頃はまだ今のシステムができる前だね。今はSTEP3ぐらいからシーンを始めるけど、そのころはいきなりシーンということもあった。

村松: 生徒も荒っぽかったし。いわゆる"いい子"はあんまりいなかったですね。でも意外とそういう奴がいい芝居をしたりして、そんな雰囲気がおもしろかった。塩屋さんも若くて熱かったし。

塩屋: 気に食わないと「帰っていいよ」とか言ってたしね。

村松: 僕がクリニックと出会って一番良かったのは、芝居のレッスンはもちろんだけど、自分の中で抱えていた演技に対する疑問、いわゆるテレビ芝居的なものに対する疑問が素直に出せたこと。そんな自分の思いを理解してくれる人に出会えたことで、ものすごく救われた。僕が塩屋さんに言われて一番印象に残っていることがあるんです。それは「自分が絶対やりたいと思っているたった一つの仕事をやるために、残りの9個をどうやるかっていうのは大事だよ」ということ。あれは今だによく思い出しますね。


単なる「学校」を作るつもりはなかった。

塩屋: 亮太郎が今こうなっているのには必然性があるんだよね。もともと学校を作る時に頭にあったのが、アクターズスタジオっていう自分が影響を受けた方法論。ユージン・オニールとか、アーサー・ミラーだとか脚本家がいて、そこにエリア・ガザンとか監督がいて、プロデューサーがいて、そして俳優がいる。そういう「空間」、チームを作ろうと思っていた。今でも忘れられないのは、当時、亮太郎が50万100万出して秋葉原なんかで機材を買っていたんだよね。周りはみんな貧乏だから、亮太郎が何でそんなことをしてるのか理解できない。「あいつは何やってんだ」ってね。

村松: 役者をやることと作ることにあまり差がなかったので。とにかく「映画を作りたいなあ」と思ってたんです。

塩屋: ここは、俳優だけが生まれる場所じゃない。そのことからいうと、それを一番最初に始めていたのが亮太郎だろうね。


全てはここから始まったという感じはありますね。

原田 佳奈さん: 私の場合、クリニックと出会ったきっかけは、前の事務所にいた時に、そこでも演技のレッスンがあったんですけど「そこには行っちゃだめだ」って言われて、ちゃんと芝居を教えてくれるところに行けって言われたんです。それまでちゃんと演技の勉強をしたこともなかったし、映画もたくさん見るほうじゃなかった。ちゃんと女優としてやっていきたいと思うようになって、映画をすごく見るようになったのもクリニックに来てからですね。

塩屋: 佳奈はね、リアクションがすごく上手いんだよ。自分が台詞を喋るのが上手い子は多いんだけど、受けるのがうまい子はなかなかいない。それで亮太郎にもいい子がいるよって紹介したんだよ。そしたらすぐつかってくれた。

村松: そうそう、反応がいい子ってなかなかいないんですよ。

塩屋: 佳奈は一言で言うとセンスのいい生徒だった。才能がある子も少ないけど、運がある子も少ない。うまくいきますようにということをまず願うと同時に、何か協力したいと思うよね。だから、亮太郎みたいなちゃんとそういうことが分かる監督に先ず紹介した。まさに自分が考えていた環境の中で育った二人だからね。

原田: 人とのつながりはもちろん、本当に何もかもがクリニックから始まった感じがあるんですよね、私は。

塩屋: 何年か経ったら亮太郎と俺が「すいません、ちょっと出てくれませんか」っていう立場になるんだよ。そしたら佳奈が「う〜ん、考えとく」ってね。

原田: そんなことしたら最悪ですよね(笑)





『ヘイジャパ!』の世界を支えるパフォーマンス

原田: 私は、今回みたいな役は初めてだったんですけど、鈴木砂羽さんと全くリハーサルができなかったんです。現場で初めてお芝居をしたので、砂羽さんがどういう風に来るのか全然分からなかった。だから本当にその場で反応してるんですよね。砂羽さんだから、ああいう反応になったんです。他の人だったら別の反応になったと思う。それが自分の中で面白かった。あ、こんな風になるんだと思って。

村松: 芝居に関しては、キャラクターをあえて色んな意味で誇張してるんで、リアルっぽい芝居ができる映画じゃない。でもその世界の中でのリアルってあると思う。やりすぎながらどうギャグにならないかっていうことですよね。表面上でギャグっぽいことしても見てられないことになる。だから、そうなってないっていう点では今回の役者さんはちゃんと理解してやってくれたなと思います。

リアル・ニッポンとしての『ヘイジャパ!』

村松: 『ヘイジャパ!』の世界って、僕にとってはすごくリアル。例えば「輪姦なんてあり得な〜い」っていってブログにアップする女の子って一見めちゃくちゃなようだけど、そういう子って実は山ほどいる。リストラされて公園でiモードしてるサラリーマンだってざらにいるでしょう。だから、あれを見て笑えない人、たくさんいると思いますよ。 実はこの脚本、2000年にほぼ書き上げていたんです。それを読み返してみて、みんな幸せを求めて四苦八苦しているんだなっていうのを改めて思ったんですよね。タイトルにもなっている愛と平和と理解はこの映画のテーマなんだけど、どれも他者がいないと成立しない言葉なんですよ。でも今は限りなく"個"になっている。他者との関係が切れた状態にあるんですよね。そうなると、幸せを求める行為って単なる"欲"になってしまう。それに自分で気付いてない。みんな根底では愛や平和が大切だって分かってるんですよ。だけど、実際今はどうなのって問われた時に、実質はお金だったり欲を満たすことになっている。

「Do you believe PEACE LOVE, and UNDERSTANDING?」

村松: だから僕自身、信じたいけど結構難しくなってる。だから観る人にも考えて欲しいんです。自分自身に対しての問いかけでもあるし。

原田: 私はイエスなんですよね。信じられないっていう感覚も分かるんですけど。私自身、育ってきた中で、LOVEもPEACEもUNDERSTANDINGも当たり前のようにあったから。

村松: 俺もなかったわけじゃないよ。なんか不幸な人みたいじゃん(笑)

塩屋: 僕は若い頃は佳奈に近かった気がするな。でもこの年になると、亮太郎の言ったようなことを強く感じる。だから亮太郎の言う"問いかけ"っていうのがすごく分かって。最終的には信じてるよ。「よくなるはずだ」って。そう思わないと生きていけないしね。

村松: そういうことですよね。そうやって、みんなあがいて生きている。そういう愚かさも含めて愛するべき人間というか。



村松: このサイクルの早い時代の中で、15年やっていること自体がまずすごい。僕が一番最初クリニックへ来たときに得た信じるもの、芝居に対する大基本であったり、こうあるべきだという理念をこれからもなくさないでいて欲しいですね。

原田: 私は、芝居を初めてする人が芝居って楽しいなと思える場だったり、ある程度キャリアをつんできた人が、いつでも戻って来ることの出来る場であって欲しいと思います。

塩屋: 今レッスンしている生徒からもそうだけど、僕自身も生徒からもらうことが多い。僕は上手い演技を教えようとか全然思ってないんだよね。その場でその瞬間ピュアにやること、本当にその場にいることができれば最高だなっていう風に思ってる。二人には、これから色んな逆風を受けることがあるかもしれないけれど、精神的に同じ釜のメシを食った気持ちでいるんで、本当に頑張って欲しいし、二人が頑張ることでこちらも影響される。そういう存在であって欲しいですね。

村松: 14年前も同じ事言われてましたね。それを信じてやればいいんだよ。迷うなって。今と全く一緒です。



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