CONTENTS

HIKOBAE PROJECT
  8/1 イベントリポート
  舞台「HIKOBAE」出演者募集

Interview FILE no.1
  株式会社ホリプロ取締役
  鈴木 基之氏

Interview FILE no.2
  映画「ヘイジャパ」
  村松 良太郎監督
  原田 佳奈さん

Interview FILE no.3
  EXILEリーダー HIROさん

Interview FILE no.4
  映画プロデューサー
  北川 淳一氏
  神田 裕司氏

Interview FILE no.5
  池田 良さん
  折井 理子さん

Interview FILE no.6
  鈴木亮平さん

Workshop FILE no.1
  Stella Adler Los Angeles
  ×ACTORS CLINIC
  特別ワークショップ

Workshop FILE no.2
  小堺一機さんワークショップ

Workshop FILE no.3
  Ron Burrus
  ×ACTORS CLINIC
  特別ワークショップ

Workshop FILE no.4
  原田眞人監督ワークショップ

 

  FUNCTION
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アクターズクリニックを知る人に語っていただくアクターズクリニック。
FILE No.1   鈴木基之氏
株式会社ホリプロ取締役・プロデューサー)


全くの新人を1ヶ月でドラマの商品としてみせられるようにする、という目標を作った年だった。

塩屋 俊 : 鈴木さんがクリニックの授業を最初に見に来たのは、立ち上げて2年目(1995年)でしたね。

鈴木基之氏 : ちょうどホリプロスカウトキャラバンの20回記念でタイミングが良かったんだよね。それまでもスカウトキャラバンは大勢のタレントを排出していたけど、20回目ということでなんらかの出口を見せたいと考えていたんだ。もちろん選ばれるまでにもたくさんのドラマがあるんだけど、記念の年だったんで何か特別なことをやりたい。そこで、その子達が何の役に向かってオーディションを戦うのか、というのをやってみようと思ったんだ。
そこで武田真治や脚本家の岡田惠和さんと話して、出口として武田真治の相手役でデビューする、という企画が生まれた。優勝者は『海がきこえる〜アイがあるから』という2時間ドラマスペシャルでいきなり主演をやる、全くの新人を1ヶ月でドラマの商品としてみせられるようにする、という。それがちょうど塩屋くんが学校をやり始めた頃だったんだよね。
結果、佐藤仁美がそのドラマで主演デビューし、特別賞を受賞した新山千春がそのあと『お日柄もよくご愁傷さま』という映画の家族の一員という役でデビューした。塩屋くんには撮影に入る前にその二人を見てもらったんだよね。


塩屋 : なにせ仁美に関しては、最初から才能をすごく感じたし、堂々としていてね。一方、新山は一言喋るだけで真っ赤になっちゃうような子だったけど、とにかく地に足の着いてるスケール感のある子だって感じて、やっぱり選ばれただけのことはあるなって思いましたね。
あとから聞くと新山は「私は演技も下手で塩屋さんは仁美にばっかりコメントしてた」って(笑)。僕としてはそんなことなかったんだけど。
そのドラマの収録のあとに、仁美はクリニックのレッスンを受けるようになって、そこで佐藤康恵や、岡元夕起子とセッションをやらせて。それを見に来ていた原田眞人監督から『バウンスkoGALS』のコンセプトが生まれたんですよ。 走り出した『バウンスkoGALS』。


生徒を使って映画を作りたいと相談されて、最初に思ったのはバカなこと言うなぁと(笑)。

鈴木氏 : 塩屋くんから3年目なんで生徒達を使って映画を作りたいって言われて、まずバカなこと言うなぁと(笑)。お芝居は出来るけど素人で映画やりたいなんてね。おまけにあの『KAMIKAZE TAXY』を撮った原田さんが女の子を使った映画なんてやってくれるわけないよって。まぁ、志は高い方がいいから、ぐらいに思ってたら2、3日で原田さんから企画のペラが来て。それ見たとたん、一発で気に入ってね。それでうちの鈴木正勝っていうプロデューサーに見せたら、彼も気に入って。それで話が現実化していったんだよね。
撮影監督は、今年『突入せよ!あさま山荘事件』を撮った重鎮の阪本善尚さんにやっていただいて、『バウンスkoGALS』が出来たんだ。

塩屋 : 本当にいろいろなラッキーが重なって。僕もあの映画は自分の夢の一歩みたいなものだったんですよね。

鈴木氏 : メチャクチャ面白い映画だったし、予算は少ないけど、その少ないなかでよくあのクオリティーが出来たなって正直なところ思ったよ。僕は作り手だけどタレントのマネージメントやってた経験から言うと、あんな恵まれた映画デビューっていうのは、まずありえないなって。
スタートは3年目に何かやりたいっていう、塩屋の思いが『バウンスkoGALS』を生んだことは間違いないし。やはり目標っていうのはちょっと先に作っておいてそれに向かってやると、人の間にいろんな化学反応が起きて思わぬ力が出るもんだね。
化学反応を起こすっていうのはいくつかの物体がないと反応起こせないでしょう。そういう意味では教室を立ち上げてた塩屋という先生がいて、そこに付随している"メソッド"があって、そこで鍛えられた素材がいた。そこで塩屋がやってきた役者の生活の中で原田監督や阪本善尚さんとの出会いがあって、その全ての化学反応がいい爆発を起こしたっていう。本当に化学反応だったんだよね。賞も総ナメして、関わったみんながご褒美をもらった感じだった。

塩屋 : 一本目であれだけ恵まれていてね。そのあともホリプロからは数十名の女優、俳優が来て、その中に深田恭子もいて。彼女は最初は本当にやる気あるのかなって(笑)、今だから言えるけど。それがある時期から、クラスの中でのライバル意識が芽生えてきたときに授業の中で突然目覚めたような瞬間があって。その時にちょうどフジテレビのオーディションとタイミングがシンクロして。そういう運命みたいなものってありますよね。


初めて演技をする人にとってのクリニック、プロとして仕事を続けていく人にとってのクリニック。

鈴木氏
: 塩屋くんがやろうとしたアクターズクリニック、"クリニック"っていうところに非常に俺は共感していてね。今まで演技を教える先生に大勢出会ったんだけど、わりと自分流のやり方をある意味押しつけ、ある意味マネしなさい、そこから自分のものが出来るからっていう方が多かったんだよね。
確かにそういうやり方もあるんだけど、なかなか今の若い子達は押しつけられることが苦手だし。それにマネージメントの方から言わせてもらうと、すでにある型にはめたくなかった。新人なんだから。それを恐れているっていうところがあって・・・。
そういう意味ではアクターズクリニックはその人のいいところを引き出してくれる。同じ台本でも、やる人によって全然違う。それが今まで我々が知らなかった教え方、まさしくクリニックなんだってことに賛同して、安心してタレントの卵を預けることが出来て、それが育ってくれた。
もうひとつは塩屋が目指すところであろう、キャリアのある役者さんにとってのクリニックだよね。経験を積んだ役者さんでも当然ながら壁にぶちあたる瞬間ってのはあるし、芝居を変えたいとか引き出しを増やしたいとか悩んでるときに、これまでは自分の演技を見つめ直す学校というか病院とかがなかった。だから最初からクリニックを知っていれば行きやすくなるんじゃないかって。
芸能界、デビューしちゃうともうプロなんだから習うのはっていうのがあるけれど、それを変えていかないと日本の役者はブロードウェイやハリウッドの役者に勝てないと思うんだよ。観客の目も肥えているんだから。
もちろん実践で勉強することもあるんだけど、実践の前にクリニックしてもらう、そして自信持って現場に出る、そして悩んだら帰ってくる。それが役者の幅を広げるし、ひいては芸能界の層を厚くするっていう考えに賛同出来たし、だからいろんな人に薦めることが出来たんだ。

塩屋 : おかげさまでいろんな縁があって、たくさんの事務所さんから来てもらえるようになったし。うちは基本的に広告しないから口コミでこれだけ続けてこられて。
ちょうどね、去年の暮れぐらいに今までどのくらい生徒見たんだろうねって累計してみたら3,000人以上になっていて(延べ人数)。それだけの人たちと接してきたんだなーって。

鈴木氏
: 何年になるんだっけ?

塩屋 : 今年で9年目。来年で10周年ですよ。

鈴木氏 : ひとつの区切りだね。やっぱりやり続けることが大切だね。口コミで広まらないと絶対に長続きはしないし。俺なんかマネージャーやってた立場からすると生徒達が個人でお金払う場合も多いから、宣伝費にお金使うんじゃなくて10円でも安いお金でやってあげてほしいって気もするし。実際に授業を受けた人からの口コミっていうのは本物だって思うよね。
それにホリプロだけじゃなく、いろんなプロダクションの人が来るほうが業界の活性化や層の厚さにも繋がるから、今自分が作る立場になるとつくづくとそう思う。

塩屋 : おかげさんでそのあとに『いちげんさん』だとか『6週間』だとかで、ホリプロのみならずいろんな人が関わってくれて。最初の設立の目的っていうのはまさにクリニックであったし、日本の業界の中でのいい意味でのニュートラルな場所で、俳優が自由に行き来できて、ここでリフレッシュして出ていけるっていう設立当時の初志がなんとか生きながらえてきたし。



塩屋 : 鈴木さんが今後のアクターズクリニックに期待することは?

鈴木氏 : まず、習いたい人たちがまだまだ大勢いるから、塩屋くんは身ひとつなんだけど、吉田くんというパートナーがいるから、それなりの規模の範囲でクリニックを大きくしていってほしい。
そして受ける方にとったら何か目標があった方がいいから、別に打算ではないんだけど、今までだって映画3本やってるわけだからね。そういう意味では出るチャンスがあるようなことにも、またチャレンジしてほしい。出来る範囲でね。
それと、これはクリニックとは直接関係ないんだけど、ドラマ制作、映画制作に関わっていると、昔なら主演女優は10年くらい持ったんだけど今は5年くらいなんだよね。10代でデビューして20代半ばになってもお芝居が変わっていないと、マンネリのお芝居になってしまう。すると次のポジションに行かなきゃいけない、次の新鮮な若手が来ているからね。でもドラマっていうのは30代の主役のドラマも40代のドラマも必要なんだよ。
ドラマ作りのクオリティーを保つって意味でも、あるポジションまで来た人も常に新鮮でいつづけるために、気軽にクリニックしに来るというのが出来るといいなと思う。


役者だけでなくキャスターとかバラエティーやる人にとっても役に立つと思うんだよね。表現者であることは間違いないから。

塩屋 : 最近ではホリプロのネットTVの方で(ホリプロ Net-TV 『アイドル育成ストーリー』 の演技指導)、また全然違う環境でやらせていただいて。今はブロードバンドの時代だから。

鈴木氏 : そうだね、もう地上波だけじゃなくメディアが増えて、さらにコンテンツが必要とされる時代だから。ますますドラマ的なもの、いつまでたってもくさらないものが望まれてくるし。ここはこれからの人達を指導していくわけだから、映画でも舞台でもどこのメディアにも出られる人を育てていってほしいね。
役者だけでなくキャスターとかバラエティーやる人にとっても、このメソッドを学ぶっていうのは役に立つと思うんだよね。表現者であることは間違いないから。同じ人がニュース読んでも、説得力は違うでしょう。その人の持ち味もさることながらその人のテクニック、そういうのやっぱりアメリカのキャスターってうまいと思うんだよね。メディアが増えるとさらに新しいタレント、才能が求められてくるし、それはこのクリニックでも学べると思うんだよね。

塩屋 : そういう話を聞くとやらなきゃいけないことはいっぱいあるなと思いますね。まぁ、自然に広がっていけばいいなと。本当に地味でもいいんで、これまでコツコツ積み上げてきた信用を継続させつつ頑張れればいいかなと。

鈴木氏 : みんなスターになりたいという思いで来るんだろうけど、自分を表現するっていうのはこの世界じゃなくても絶対に役に立つことだろうし。自分がお父さんやお母さんになったときにも役に立つと思うんだよね、生きていく限り。何が得かだけじゃなくて、死ぬまで人間は勉強するんだっていう気持ちでくれば無駄にはならないと思うから。継続をするってことも大事にしてほしい、受けに来るほうもね。

塩屋 : まさにそうですね。現場に行って学ぶことってたくさんあるじゃないですか。帰ってきてくれると再確認することとか、いろいろクセがついているのを指摘して、修正矯正していくっていうのが本来の、まさしく鈴木さんが言ってくださったクリニックの仕事なんで。9年たって、ようやくこれから本当の仕事が出来ていくのかなって思いですね。

鈴木氏 : 塩屋くん自身もそういう若い世代、新しい人たちと出会うことが勉強になることもあるでしょう。その切磋琢磨の中でスタッフも磨かれて行かなきゃいけないわけだから。プロデューサーや監督が役者から学ぶこともいっぱいあるしね。だって見る世代はそういう若い世代なんだから。


9年間続けられたのはやっぱりいい生徒がいたから。

塩屋 : 他のスタッフともよく話していることなんですけど、毎回2ヶ月ごとに新しい子が入って来るじゃないですか。そして6週間でどんどん成長していく。そこからもらうエネルギーはすごいんですよ。本当に9年間、そこに支えられてきたといっても過言じゃないですよ。 物理的には結構ハードで、それこそ1日10時間教えるとか、よくやってるなって思いますよ。じゃあ、なんで保つかっていうとやっぱり生徒のエネルギーがあるからなんですよね。

鈴木氏 : だってお芝居を教えるというよりもその人のお芝居を作ってあげるわけだから。その人のことを全て受け止めたうえで、100人いたら100通りの個性があるわけで、それを引き出してあげるんだからね。

塩屋 : ひとりひとり、全員違いますからね。

鈴木氏 : 内科が必要な人もいれば、外科が必要な人もいる。内科でも色々症状がある。クリニックはその総合病院みたいなところだから。

塩屋 : そのすべてが、その人のオリジナルの個性なんですよね。世界中にたったひとつの。それを使わないで芝居をするなんてもったいないですよ(笑)。